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用語集

≪長編小説≫

灰色庭園ハイイロテイエン
0:プロローグ
1:少女の空
2:存在定義
3:誰かの声
4:消した記憶
5:最上階-鐘
6:鐘と夢
7:時と音と声
8:メゾ・ピアノ
9:嵐の翌朝
10:リアリティ
11:傾いた眼
12:横断携帯
...

  # 第三話 『誰かの声』
「そんなに、死にたいのですか?」

その声は、僕の知らない言語で、もう一度訊いた。
得体の知れない質問者の存在に、僕は無意識に身震いをする。
腰掛けていた、礼拝者のために整然と並べられた長椅子から立ち上がり、
音も無くゆっくりと後ろを振り返る。

そこには、誰もいない。
誰も?
そう、誰も――…

「いまさら、」

また、声が反響する。
僕の、近くで。

「私が誰か、だなんて…馬鹿げていますよね」

一瞬の、思考の停止。



そう。

そうだった。


僕は、私。
私は、僕。


「…案外遅かったですね」

声はそう一言おいてから、僕の影のなかから・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・答えた。
もう一度、闇が揺らめく。

「私は、もう懲り懲りですよ」

そう言って、影が独り言をはじめた。

「…あなたに殺されてばかりだから」
「殺される? 僕に?」
「ええ。」

含み笑いをした声が響く。

「私はね」

声が続ける。

「それよりも…死ぬことよりもね。特別なことに興味があるんですよ」
「それは、何だい?」

四角く抜け落ちた天井から伸びる光の後ろで。




「あなたを殺したくって、ね」




 嘲った
 誰かが、すぐそばで
 すぐにぼくは身をひそめた
 つめたい海の底

 嘲った
 今度は、もっと近くで
 そっとゆっくりぼくは身を乗り出して
 「           」
 叫んだ

 くすくすくすくす

 ぼくを嘲笑ったのは

 ドッペル


 ぼくだったのか。







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